「だからよー。要するに言ってやる優しさってやつだよ、それは」
金田一少年が常に殺人事件に出会うように、僕もある種の宿命のようなものを背負って産まれてきた人間です。
それはどういう事かというと、僕は、
電車に乗るとおかしな人間と鉢合わせるんですよね。
かなりの高確率で。
今までも数多くのおかしな人間に出会ってきました。
時には、
走行している電車にパンチし続けるお兄ちゃん。
時には、
非常口のマークみたいな姿勢のまま30分ピクリとも動かないオバさん。
3歩あるけば謎の行動を繰り返す変人たちに当たる毎日。
昔に比べて最近では遭遇率は減りましたが、今回もエキセントリックなカップルに出会ってしまいました。
先日の事です。
僕がいつものように帰ってから何のエロ動画を見るか考えながら電車を待っていると、横からカップルの声が聞こえてきたんですよね。
「だからよー。要するに言ってやる優しさってやつだよ、それは」
多分大学生くらいでしょうか。
どうやら女性・・・というか彼女と一緒にいるようで、わりと離れた距離に並んでいるのに聞こえてくる声の大きさで喋っています。
「ふ~ん、そういうもんなの?」
「そうだよ、時にはぶつかってでも相手に言ってあげなきゃいけないんだよ」
「あーでもわかる気がするぅ」
男の言葉に女が同調するような会話。
でかい声で喋ってるのはちょっとうるさいけれど、なかなか良い事を言うなと、僕は感心していました。
「やっぱ分かってない奴ってのは絶対いるから、それに対して言わない方が良くないぜ」
「・・・うん。けど言われたら嫌な気分になるんだろうなぁ」
「まぁな。俺はあんまし言われたことないけど、言われないよりも言われたいな、マジで。」
「そうなの?」
「おう。だって常識からはずれるような事ってあんましたくねーし、俺」
ふんふん。
言葉づかいは微妙に荒いけれど、常識からはずれたくないとハッキリ言う姿勢には好感を持ってしまいます。
それに、言わずに黙っている事でマイナスに働くのであれば、しっかり自分の意見を言って、相手に注意を促した方がいいってのもその通りかもしれない。
彼はなかなかいいことを言う若者じゃないか。
日本の未来は結構明るいじゃないか!がっはっは
と、すっかり彼の意見に賛同し、名も知らぬ彼の隠れファンのようになっていました。
で、そんな素敵な彼が、一体どんな人なのかちょっと興味が沸く訳ですよ、人間ですから。
だから、そーっとそのカップルの方を見たんです。
するとそこには衝撃の光景が広がっていたのです。
いえね
男が女の尻を揉みほぐしているんですよ
揉みほぐしながら常識を語ってんのよ
バカかと。彼はバカなのかと。
揉みと常識は共存しねーんだよ
さらにね、その揉み方がね、もうなんかすごいの。
指先でツンツンみたいなのじゃないの。
え 揉んでないと心臓止まんの?
みたいな揉みっぷりなの。
揉めずに死んだ野武士の霊にでも憑かれてないとこんなに揉むことはないだろうに。
一体何が彼をそこまでさせるのか。
だってね。
公共の場で女の尻を揉みながら『常識』って言葉を語るっていう事はですよ。
普段からおっぱいは大きさよりも感度であると豪語する僕が、右手で叶姉妹の姉、左手で叶姉妹の妹の乳を揉んでいて、その揉んでいる最中に2人に、「全然気持ち良くないわ」って言われても、平然と「へへっ、でも大きいから揉ませて頂くでヤンス」とか言いながら揉んでいるようなもんですよ。
おっぱいは大きさよりも感度であると豪語してるにもかかわらずですよ。
うん、書いてて例えがわかりにくい。全然わからない。
まぁ要するに、
【言ってることとやってる事が違うんじゃないの?】
って言いたいんですよ。
公共の場で男が女のケツを揉むのはハッキリ言って常識ではないと思うんです。
常識を語るなら行動が伴っていないとダメなんですよ。
でね。
僕はその旨を、
この尻揉み男に注意してやろうかと思ったんですね。
ホラ、本人も言われたいって言ってたし
言ってやる優しさが大切ですからね。
けど問題が1つあって、
その男すんごい強面で、ガタイも良いんですよね。
肌の色が違うだけで、見た目ほぼポグバですからね。
いや、ポグバは無理よ、ポグバは。
なんか、鼻ピアスだし、髪型エキセントリックだし。
あ、ほら、なんか手、パキパキさせてるよ、恐っ。
で、結局の所、
「公共の場で女の尻を揉むな!」
とか
「オマエが注意されないのは見た目が恐いからだ!」
とか
「僕には左の尻を揉ませろ!」
とか色々言いたい事はあったのですが何も言わずにスルーしてみました。
お前はどれだけ弱気なのか!
と自分自身に問いただしたいのですが、まぁ何か言って刺されても嫌ですし、お願いしても揉むのに混ぜてくれなそうなので、結局目も合わさずに隅っこの方でプルプルしてました。プルプル。
弱気ですが、人に何か注意する時はタイミングを選ぶべきなのです。
絶対にそうだ、僕の弱気もまぁ仕方ないです。
でも、いずれチャンスがあったときには、今度こそ尻を揉んでみせる!
ジッチャンの名にかけて!