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BSジャパンでオードリーの若林正恭さんが司会を務めるトーク番組『文筆系トークバラエティ ご本、出しときますね?』を、みなさんはご存じでしょうか?
毎回、人気作家の皆さんがゲストで登場して、司会の若林さんと様々なトークをするのですが、一般的なバラエティーのクソコメントのやり取りと違ってしっかりと意見を言う時間と受け取る時間を確保しており、作家の方々や若林さんの意見や考え方をしっかりと聞けて嬉しくなってしまう素晴らしい番組です。
番組自体は2016年に終わっているので、今後はスペシャルなどでしか見れないかもしれませんが、この度、番組の書籍化が発売されました!僕も購入しましたが、番組内容をそのままなぞっていたので驚きましたが、追加で尾崎世界観さんと光浦靖子さんがゲストとして登場する鼎談の様子が描かれていました!面白かったですよ!ぜひ読んでみてください!!
今回はその書籍化を祝して、
《作家さんの代表作・有名作の紹介》
と共に、
《紹介してくださったおすすめの本》
についてもまとめていきたいと思います。あらすじはamazonから引用していますのであしからず。
第1回:西加奈子・朝井リョウ
2016年4月8日放送。初回ゲストは若林さんとズブズブの関係交流が深い2人。
プロレス好き仲間の西加奈子さんと、もはや普通に友達なんだろうなと感じる朝井リョウさん。加藤千恵さん、村田沙耶香さん、中村航さん等とも良く飲んでいるそうで、人間関係がある状態でのトーク番組はやりやすくて楽しそうだなと思います。
元々朝井リョウさんがオードリーのオールナイトニッポンのヘビーリスナー(リトルトゥース)だったこともあり、今や飲み友達のような状態になっているようですね。特徴的だったのは作品を読者がどう解釈するかの違いでした。西さんの自由な解釈と対比するように、朝井さんはどうしても一つの場所に落し込みたいとのこと、笑。でも結果的にそうでなければ直木賞作品である『何者』のような計算された作品は生まれなかったでしょうね。
西加奈子『サラバ!』
第152回直木賞受賞作品
1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。 父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。 イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。
朝井リョウ『何者』
第148回直木賞受賞作品
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
加藤秀行『シェア』
「縦社会に納得がいかない若者にオススメの本」として朝井さんが紹介したご本
新人登場! 「いま」を描ける才能がここにある。IT企業、シェアハウス……クールな文体でスタイリッシュな世界が秘める真実の感触に迫る! 文學界新人賞受賞作&芥川賞候補作。吉田さん、綿矢さんが、その才能を高く評価しています。
第2回:西加奈子・長嶋有
2016年4月15日放送。第二回ゲストは第一回に引き続き西加奈子さんと芥川賞作家のブルボン小林こと長嶋有さん。
見た目が小奇麗とは言えない長嶋さんですが、話していると優しそうに見えますよね。トークとしては若林さんの派手なメガネのインタビュアーの話と西さんの尖った靴履いているやつを見つける能力についてが特に楽しめます。若林さんも作家の方々も独自の視点と一般論を上手く融合し、偏見とあるあるの中間地点のような話をされるので、その微妙な線引きが楽しいのかもしれません。
西加奈子『きいろいゾウ』
個人的に一番好きな作品

夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会からやってきた若夫婦が、田舎暮らしを始める。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。それは背中の大きな鳥に纏わる出来事に導かれてのものだった。
長嶋有『猛スピードで母は』
第126回芥川賞受賞作品

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。
スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』
「憧れの人やスーパースターにまつわるオススメの一冊」として西さんが紹介したご本
天才作家エドウィン・マルハウスは、傑作『まんが』を遺して11歳で夭折した。誕生から彼を見つめつづけた親友ジェフリーは、その評伝を残して姿を消す。捨てられた遊園地、マンガ、アニメ映画、ローズへの恋…。ダークで濃密なコドモの世界を、幾重もの仕掛けとともに描いた傑作長篇。

第3回:長嶋有・朝井リョウ
2016年4月22日放送。第三回ゲストは第二回に引き続き長嶋有さんと、朝井リョウさん。もしかすると3人呼んで、三本撮りしたのかなと勘ぐりたくなるキャスティングですね。
この回は朝井リョウの代名詞とも呼べる「エゴサーチ」について多くの意見が交換されていました。人間は喜びや優しさの感情よりも、怒りの感情の方が本質を見つけやすいのかもしれませんね。怒りの感情は他と違って「反応・反射」の側面がありますしね。たいへん楽しめました。
長嶋有『三の隣は五号室』
第52回谷崎潤一郎賞受賞作品

傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。
朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
第22回小説すばる新人賞受賞作品

田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。
ミランダ・ジュライ『あなたを選んでくれるもの』
「エゴサーチにまつわるオススメの一冊」として長嶋さんが紹介したご本
アメリカの片隅で同じ時代を生きる、ひとりひとりの、忘れがたい輝き。映画の脚本執筆に行き詰まった著者は、フリーペーパーに売買広告を出す人々を訪ね、話を聞いてみた。革ジャン。オタマジャクシ。手製のアート作品。見知らぬ人の家族写真。それぞれの「もの」が、ひとりひとりの生活が、訴えかけてきたこととは。カラー写真満載、『いちばんここに似合う人』の著者による胸を打つインタビュー集。

第4回:加藤千恵・村田沙耶香
2016年4月29日放送。第四回ゲストは自称オードリーのラジオの気持ち悪いレベルのファンで、自身もラジオをやられていた加藤千恵さんと、多くの作家にクレイジーと呼ばれている芥川賞作家(放送時は未受賞)である村田沙耶香さんでした。
村田さんの話でとても興味深いのは喜怒哀楽の中で怒りの感情が欠落していると言っているところ。そんなことを言うとサイコパス的な人物像が思い浮かぶが、本人は誰かに感情移入して泣いてしまうような方なんですけどね。また、加藤さんはラジオを通して声だけ聴いている時間が長かったので、画面越しに動いていると不思議な感覚に襲われてしまいます笑。
加藤千恵『ラジオラジオラジオ!』
オールナイトニッポン0のコーナーから生まれた作品

カナはバイトで買ったパソコンでインターネットをするのが一番の楽しみの、地方都市に住む高校三年生。一刻も早く退屈なここを出て、東京の大学に行って、将来はテレビ局で働きたいと思っている。「東京はここよりも、インターネットの中の世界に近い気がする。早く本物の場所に行きたい。」ある日、カナは 地元ラジオ局のパーソナリティー募集をフリーペーパーの広告で見つける。以前から声が好きだった友達のトモを誘って面接を受けたところ、ラジオのパーソナリティーとして、週に一回、「ラジオラジオラジオ! 」という番組を持つことになる。 だが進路決定が近づくにつれて、二人の未来への夢は次第にすれ違い始めて……せつなさ120%の青春小説。加藤千恵の新境地!
村田沙耶香『コンビニ人間』
第155回芥川賞受賞作品
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。
岸本佐知子『変愛小説集』
「変態」をテーマに村田さんが紹介したご本
五月のあの朝、わたしはどうしようもなく恋に落ちてしまった―。木に片思いをしたり、バービー人形と真剣交際したり。変な愛はこんなにも純粋で狂おしい。数多くの熱心な読者を持つ訳者が選び抜いた、奇想天外で切実な想いのつまった11篇。ありふれた恋愛小説とは一味も二味もちがう、「究極の愛」の姿。

第5回:平野啓一郎・山崎ナオコーラ
2016年5月6日放送。第五回ゲストは『日蝕』で第120回芥川龍之介賞を受賞された平野啓一郎さんと、『カツラ美容室別室』など心理描写に定評のある山崎ナオコーラさん。
お二人は初対面のようで、初めのたどたどしい雰囲気が何とも言えませんでしたが、お二人とも独特の雰囲気があって面白い。優しそうに変なことを言う平野さんの、キス動画をあげてる奴GO TO HELLというのも独特ですし、自分ルール「人が抱えている複数の分人を尊重する」という考え方は素晴らしく、あまり他人を責めないようにしようと僕も反省してしまいました。あと山崎ナオコーラさんが自らのペンネームを後悔しているというのは衝撃的、笑。今さらですが、コーラが好きだったからナオコーラなんですね。
平野啓一郎『マチネの終わりに』
番組でも取り上げられていたベストセラー作品

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』
第41回文藝賞受賞作品にしてデビュー作

19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた??「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。
森鴎外『高瀬舟』
「あきらめる」をテーマに平野さんが紹介したご本
島送りの罪人を乗せ夜の川を下る高瀬舟。しかし実の弟を殺したその男の顔は晴れやかに、月を仰ぐ目は輝いていた。なぜ…。精美な日本語で鴎外で描く人間の不可思議。これは安楽死をめぐる永遠の矛盾として現代人の中にも生きている。表題作の他「阿部一族」「山椒大夫」「寒山拾得」など後期の代表作を収録。

第6回:佐藤友哉・島本理生
2016年5月13日放送。第六回のゲストは御夫婦で小説を書いていらっしゃる佐藤友哉さんと島本理生さんでしたが、夫婦間での独特の縄張り争いが表面化しているようで、ちょっとだけ怖かったです笑。
でも佐藤さんは表現が独特で「テレビの人みたいなこと言うテレビの人」って面白い言い回しですよね。二人が作家合コンで知り合ったというのはとても興味深いお話で、乙一さんも参加されていたというのも驚きでした。奥様である島本さんは人としてのバランス感覚が優れていそうで、佐藤さんとのバランスも良さそうに思いました笑。
佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』
第20回三島由紀夫賞受賞

二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。僕は四年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。(片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる。)おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。謎めく配川姉妹、地下に広がる異界、全身黒ずくめの男・バックベアード。古今東西の物語をめぐるアドヴェンチャーが、ここに始まる。三島由紀夫賞受賞作。
島本理生『ナラタージュ』
ベストセラー作品

お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある―大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は―。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。
島尾敏雄『死の棘』
「夫婦」をテーマにして島本さんが紹介したご本
思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?―ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。

第7回:藤沢周・羽田圭介
2016年5月20日放送。第七回ゲストは若林さんが大好きな『オレンジ・アンド・タール』の作者である藤沢周さんと、又吉さんと共に芥川賞を受賞した自称・じゃない方芥川賞作家である羽田圭介さん。
藤沢さんがパチプロやってて女子アナ好きってのがイメージと違いますね。その話に関しては若林さんが三トアナを人間として信頼できると言っていたのがとても印象的でした。お二人とも「なんでアイツの本が売れんだよ」みたいな反骨的な感覚をお持ちのようで、そういった闘うような感覚も小説家には必要なのかもしれないなと感じる回でした。
藤沢周『オレンジ・アンド・タール』
若林さんが大好きだと公言している傑作

高校でアウトロー的存在のカズキは、スケボーに熱中して毎日を送る。今日も伝説のスケートボーダーのトモロウのところへ相談に行く彼の心に影を落としているのは、同級生が学校の屋上から落ちて死んだことだった。そして、目の前で事件は起きた。自分って何なんだよ、なんで生きてるんだよ―青春の悩みを赤裸々に描いた快作。
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』
第153回芥川賞受賞作品
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。
古井由吉『辻』
「世界の実相を掴ませてくれる本」として藤沢さんが紹介したご本
父と子。男と女。人は日々の営みのなかで、あるとき辻に差しかかる。静かに狂っていく父親の背を見て。諍いの仲裁に入って死した夫が。やがて産まれてくる子も、また――。日常に漂う性と業の果て、破綻へと至る際で、小説は神話を変奏する。生と死、自我と時空、あらゆる境を飛び越えて、古井文学がたどり着いた、ひとつの極点。濃密にして甘美な十二の連作短篇。

でも、いつか挑戦したい本です!
第8回:海猫沢めろん・白岩玄
2016年5月27日放送。第八回ゲストは朝井リョウさん、西加奈子さんからの推薦である海猫沢めろんさんと、加藤千恵さんからの推薦である白岩玄さん。
かなり破天荒な海猫沢さんですが、無一文になって駐車場でファイアーダンスをするという心理状態は全く理解できませんね笑。好きな人が出来た時にイメージが先行して、オリジナルを殺したくなってしまうというのは恐ろしいですが、流石というか、作家さんが話をすると言語化されて少し納得してしまいそうになるから怖いですね。
白岩さんも携帯の電話帳を全部絵文字で登録されているという変人ぶりを発揮していましたが、物事を抽象的に捉えて、概念があれば生きていけるタイプの人間なのかもしれませんね。芸術家肌ともいいますが。でも砂浜でジャンプして写真を撮る女とは距離を置くってのは一番ピンときてしました笑。
海猫沢めろん『全滅脳フューチャー! ! !』
凄まじい内容の自伝的青春小説

90年代、地方都市「H市」。美少女アニメとゲームとマンガがちょっと好きな18歳の「ぼく」は、トラックで職人を轢き殺そうとして工場をクビになり、はずみで新しくオープンするホストクラブで働くことになる。そこにいたのはホストとはかけ離れたシャブ中のチンピラ「シンさん」だった……。自身の経験を赤裸々に描いた自伝的青春小説!
白岩玄『野ブタ。をプロデュース』
ドラマ化もされたヒット作品

人間関係を華麗にさばき、みんなの憧れのマリ子を彼女にする桐谷修二は、クラスの人気者。ある日、イジメられっ子の転校生・小谷信太が、修二に弟子入りを志願するが…はたして修二のプロデュースで、信太=野ブタは人気者になれるのか?!TVドラマ化もされた青春小説の決定版・第41回文藝賞受賞作。
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』
「20代の人に響く本」として海猫沢さんが紹介したご本

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。
第9回:中村航・中村文則
2016年6月3日放送。第九回ゲストは『土の中の子供』で第133回芥川龍之介賞を受賞された中村文則さんと、小説家仲間からメチャクチャいじられる中村航さんのお二人。
中村文則さんと若林さんのつまらないボケに対するツッコミの話もかなり面白かったんですが、中村航さんの若ちゃんへのスキンシップの話が個人的にかなりツボでした、笑。中村航さんて人間的な面白さがありますよね。あと、一番共感したのは、マナーの悪い人と遭遇した時は、相手を虫だと思って諦めるというルール。もうめっちゃ共感してしまいました。虫だぜ、もう虫。
中村航『100回泣くこと』
映画化もされたベストセラー作品

実家で飼っていた愛犬・ブックが死にそうだ、という連絡を受けた僕は、彼女から「バイクで帰ってあげなよ」といわれる。ブックは、僕の2ストのバイクが吐き出すエンジン音が何より大好きだった。四年近く乗っていなかったバイク。彼女と一緒にキャブレターを分解し、そこで、僕は彼女に「結婚しよう」と告げる。彼女は、一年間(結婚の)練習をしよう、といってくれた。愛犬も一命を取り留めた。ブックの回復→バイク修理→プロポーズ。幸せの連続線はどこまでも続くんだ、と思っていた。ずっとずっと続くんだと思っていた―。
中村文則『教団X』
読書芸人で取り上げられて大ヒット

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。
太宰治『きりぎりす』
「自意識」をテーマにして中村航さんが紹介したご本
「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。…」名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して印象深く描いた表題作など、著者の最も得意とする女性の告白体小説『燈篭』『千代女』。著者の文学観、時代への洞察がうかがわれる随想的作品『鴎』『善蔵を思う』『風の便り』。他に本格的ロマンの『水仙』『日の出前』など、中期の作品から秀作14編を収録。

第10回:窪美澄・柴崎友香
2016年6月10日放送。第十回ゲストは結構エグイ小説を書かれている窪美澄さんと、『春の庭』で芥川賞を受賞された柴崎友香さんがゲストです。
お二人ともスタートは少し緊張が見られましたが、要所で若林さんがエピソードトークを放り込んで盛り上がってましたね!窪さんのお話で良かったのは、朝井リョウさんと柚木麻子さんとの関係性。「猜疑心で結びついている」というのを口に出して言えるのは素敵ですね。さらに息子さんがリトルトゥースという不思議な距離感、笑。
柴崎さんのお話では「人の為にやらない」というのは本当に共感してしまいました。何かの為~で無理をするのではなく、自分がやりたい事をやってそれが結果的に人の役に立つという考え方はとても大切だなと改めて感じてしまいます。
窪美澄『ふがいない僕は空を見た』
第24回山本周五郎賞受賞作品
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
柴崎友香『春の庭』
第151回芥川龍之介賞受賞作品
行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』
「猜疑心」をテーマにして窪さんが紹介したご本
「不朽の恋を得ることならば、私は一生の大事業の一つに数えてもいいと思います。」筆一本を武器に、結婚制度や社会道徳と対決した伊藤野枝。野枝が生涯をかけて燃やそうとしたものは何なのか。気鋭の政治学者が、ほとばしる情熱、躍動する文体で迫る、人間・野枝。その思想を生きることは、私たちにもできること。やっちまいな。

第11回:角田光代・西加奈子
2016年6月17日放送。第十一回のゲストは直木賞、中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞など数多くの賞を受賞されているハイパーな角田光代さんと、若林さんの飲み友達、プロレス大好き西加奈子さんです。ちなみに二本撮りだったのか、第十二回のゲストも同様です。
本当に角田さんて優しくて思慮深くて魅力にあふれた人に感じますね。ボクシングをやられているという点も特殊ですし、失恋からボクシングを始めて16年てとんでもない事をサラリと伝えてくれるところに、また愛嬌を感じてしまいます。仕事場に「小説以外の仕事は断る」って書いておかないと受けてしまうような人間性も、失礼ですが笑ってしまいました。西さんの救ってくれることにやはりプロレスを挙げてましたね、笑。
角田光代『対岸の彼女』
第132回直木三十五賞受賞作品

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。
西加奈子『ふくわらい』
第1回河合隼雄物語賞受賞作品

暗闇での福笑いを唯一の趣味とする編集者の鳴木戸定。愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、愛を語る盲目の男性や、必死に自分を表現するレスラーとの触れ合いの中で、自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。第1回河合隼雄物語賞受賞作。
第12回:角田光代・西加奈子
2016年6月24日放送。第十二回のゲストは、第十一回に続いて角田光代さんと西加奈子さんです。西さん、話うまいですよね。
角田さんの言霊の話。西さんの誰かを傷つけるという話。それぞれ共感と納得を感じさせてくれる話でした。当たり前の事を言ってしまいますが、流石作家の方々は、感情を限りなく近い形で言葉に変換してお話をされているので、聞いてて心地いいですね。ずっと聞いていたくなってしまいます。
さらに、若林さんのお笑いにおける「正義のライン」の話もとても面白かったです。2人にズルをしていなくて「傷だらけやん!」と褒め?られていてニヤニヤしてしまいました。
最終回で本棚のように並べてみたいと仰っていたので、WEB上ではありますがまとめてみました~。
角田光代『紙の月』
映画化もされたベストセラー作品

ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった・・・・・・。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第二十五回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。
西加奈子『舞台』
2017年の最新作

太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまで平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に―。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編。
開高健『輝ける闇』
「ズルしてないオススメの本」として角田さんが紹介したご本
銃声が止んだ……虫が鳴く、猿が叫ぶ、黄昏のヴェトナムの森。その叫喚のなかで人はひっそり死んでゆく。誰も殺せず、誰も救えず、誰のためでもない、空と土の間を漂うしかない焦燥のリズムが亜熱帯アジアの匂いと響きと色のなかに漂う。孤独・不安・徒労・死――ヴェトナムの戦いを肌で感じた著者が、生の異相を果敢に凝視し、戦争の絶望とみにくさをえぐり出した書下ろし長編。

2017年の正月SP:朝井リョウ・西加奈子・村田沙耶香・綿矢りさ
2017年1月2日放送。
正月SPでは、綿矢りささんが初登場。他の皆さんは何度か登場しているメンバーです。綿矢さんと他の三人の距離感を知りたい気持ちになってしまいますね!
その綿矢さんが、急な事件に心がやられるからヒルナンデスしか見ないと仰っていましたが、やっぱり作家の皆さんは感情に直で物事がぶつかってくるんでしょうかね。
でも気持ちわかるなぁ…。てか西さんってベッキーさんのニュースに憤りを感じていそうですね。その気持ちも良くわかります。不倫とかそういった事件を責める側の人間ではなく、責められる側の視点でしか考えられないという感受性についてもとても同意してしまう。正月SPは共感しまくりです笑。
あと2016年に気になった言葉はかなり楽しめました。
朝井さんが気になった言葉「動画が途中から再生されるのが不便だから」。話がうまいという事もありますが、僕も話を聞いて衝撃的でした。確かにはじめて触れた物が、その世代のスタンダードになるというのは納得です。そう言った事実を事実として受け入れているオッサンになっていきたいですね。
西さんの気になった言葉「人類を滅亡させるわ」。AIが発したというこの言葉は、恐ろしい言葉であるものの、人間は矛盾を許容して生きている訳ですから、AIからこういった意見が出てくること自体は、僕の感覚からすると至極まっとうな事のようにも感じてしまいます。嫌ですけどね笑。
村田さんは「生きるか死ぬかの状況に身をおくと生きるために何が必要かわかってくる」という言葉。これは、冒険家のマット・グレアム『ぼくは原始人になった』という本の影響だそうで、何もないゼロの状態の人間としての生きる力がどれくらいなのかを知りたいという渇望の結果のようです。


正月SP「本が苦手な人にオススメの一冊」
正月スペシャルではゲストの4人が「本が苦手な人にオススメの一冊」を紹介してくれています。ただ、朝井さんと村田さんのおすすめ本はわかりますが、西さんと綿矢さんのおすすめ本はどことなくハードル高め…。本が苦手な人がどれほど本に苦手意識を持っているかの感覚は作家と一般人では大きく違うのかもしれませんね。その点、朝井さんのオススメの本は“読書の成功体験”にフォーカスされていたので本当に読んでもらいたいですね。
さくらももこ『もものかんづめ』3部作
朝井さんが紹介したご本
「こんなにおもしろい本があったのか!」と小学生からお年寄りまでを笑いの渦に巻き込んだ爆笑エッセイの金字塔!!著者が日常で体験した出来事に父ヒロシや母・姉など、いまやお馴染みの家族も登場し、愉快で楽しい笑いが満載の一冊です。「巻末お楽しみ対談」ではもう一度、全身が笑いのツボと化します。描き下ろしカラーイラストつき。

ウィリアム・サローヤン「僕の名はアラム」
西さんが紹介したご本
僕の名はアラム、九歳。世界は想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていた――。アルメニア移民の子として生まれたサローヤンが、故郷の小さな町を舞台に描いた代表作を新訳。貧しくもあたたかな大家族に囲まれ、何もかもが冒険だったあの頃。いとこがどこかからか連れてきた馬。穀潰しのおじさんとの遠出。町にやってきたサーカス……。素朴なユーモアで彩られた愛すべき世界。

岸本佐知子編「コドモノセカイ」
村田さんが紹介したご本
あの頃わたしたちは、孤独で、弱くて、ひねくれていて、とても“変”だった。誰も読んだことのない、子供にまつわる12の物語。

カミラ・レックバリ「氷姫 エリカ&パトリック事件簿」
綿矢さんが紹介したご本
海辺の古い邸で凍った美しい女の全裸死体が見つかり、小さな町を震撼させた。被害者が少女時代の親友でもあった作家エリカは、幼馴染の刑事パトリックと共に捜査に関わることに。20年以上疎遠だった親友の半生を辿ると、恐るべき素顔が覗く。画家、漁師、富豪…町の複雑な人間模様と風土に封印された衝撃の過去が次々明らかになり、更に驚愕の…。戦慄と哀歓。北欧ミステリの新星、登場。

正月SP「悔しいけど…面白かった一冊」
もう一つ、正月スペシャルでは「悔しいけど…面白かった一冊」を紹介されていました。村田さんや綿矢さんは自分の体験からくる面白さを本に乗せて紹介してくれていました。その中でも注目はなんといっても直木賞受賞作・恩田陸『蜜蜂と遠雷』ですね!朝井さんが紹介されてましたが、番組の中でこの本で恩田陸さんが直木賞を受賞されると予想していましたが、その通りになりましたね。朝井さん凄い。そして何より、恩田陸さん受賞おめでとうございます!!
恩田陸『蜜蜂と遠雷』
朝井さんが紹介したご本
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

ジョン・アーヴィング「ひとりの体で」
西さんが紹介したご本
美しい図書館司書に恋をした少年は、ハンサムで冷酷なレスリング選手にも惹かれていた――。小さな田舎町に生まれ、バイセクシャルとしての自分を葛藤の後に受け入れた少年。やがて彼は、友人たちも、そして自らの父親も、それぞれに性の秘密を抱えていたことを知る――。ある多情な作家と彼が愛したセクシャル・マイノリティーたちの、半世紀にわたる性の物語。切なくあたたかな、欲望と秘密をめぐる傑作長篇。

堀江敏幸「その姿の消し方」
村田さんが紹介したご本
古い絵はがきに綴られた十行の詩。細くながく結ばれてゆく幻の「詩人」との縁を描く待望の長篇。留学生時代、古物市で見つけた一九三八年の消印のある古い絵はがき。廃屋としか見えない建物と朽ち果てた四輪馬車の写真の裏には、流麗な筆記体による一篇の詩が記されていた。やがて、一枚また一枚と、この会計検査官にして「詩人」であった人物の絵はがきが手元に舞い込んでくる――。二十数年にわたる縁を描く待望の長篇。

松田道雄「定本 育児の百科」
綿矢さんが紹介したご本
育児という未知の体験で日々不安に直面した多くの人々が本書によって導かれ、勇気づけられた。開業医としての経験の蓄積と内外の最新の医学書に目を通して改訂を続けた不断の努力による本書は、単なるハウツー本ではない。最晩年まで社会的活動を続けた著者の仕事の集大成であり、平易な言葉で書かれた思想の書である。

最後に
僕はこの番組が大好きです。
作家さんたちが作品という形以外で意見を発信できる場所は貴重だし、真面目で格好つけたドキュメンタリーではなく、くだけたバラエティーの中で、さらに若林さんを相手に話をするからこそ価値があると思います。
また、若林さんの本が好きな姿勢と、同時に作家さんをリスペクトしながら話している姿に好感を持っているので、毎週とは言わないまでも、定期的に放送する形でどうにか続いていってほしいと心の底から祈っています。
