知ってる方も多いと思うが、読書メーターという読書管理アプリを使っていると、ときどき『献本』していただけることがある。
『献本』とは、出版社の販促活動の一環として無料で本をプレゼントしてもらうことで、本の知名度を上げたり宣伝効果を期待するものだ。
読書メーターでは定期的に『献本』をしていただいているが、これがもう本当に当たらない。それこそ都市伝説クラスに当たらない。
だから今回感想を書こうとしている『毒見師イレーナ』が献本で当たった時はテンションが上がりまくってしまった。
とりあえず読んだ感想を書いていきたいと思っているのだが、
「本をプレゼントしていただいたから悪いことは書けないなぁ・・・」
なんていう事前の心配も全くの無駄で、とにかくメチャクチャ面白いファンタジー小説だったので胸を張って堂々と感想を書いていきたいと思う。
毒見師イレーナ

あらすじ
ある殺人を犯した罪で死刑囚となった少女イレーナ。ついに絞首台へと送られる日を迎えるも、そこで思わぬ選択肢を与えられる―今すぐ絞首刑か、それとも、国の最高司令官の毒見役になるか。だが毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは、逃走防止の猛毒だった。かくして少女は毎日与えられる解毒剤なしには生きられぬ身体に。わずかな生きる希望に賭け壮絶な日々に立ち向かうが…。
1年間も投獄されていた少女が、死刑になるか毒見師になるかを選ばれされ、毒見役として生きて行くことを決心し人生に立ち向かっていく物語。
(引用|amazon)
絶望的な状況から始まっていき、なぜイレーナが死刑囚になったのかも、このファンタジーの世界観なども明かされないまま手探りで物語が進んでいく。
その情報制限がうまく機能しているのか、読者もイレーナと同じ心境で、共に新しい環境に馴染みながら読み進められるのが感情移入の点で素晴らしいと思う。
ファンタジー作品ではあるが、普段ファンタジーを読まない人でもすんなりと物語の世界に入っていける読みやすさは、その情報制限から生まれているのではないだろうか。
最高司令官の毒見役になったイレーナは、自分を管理するヴァレクの元、あらゆる毒の知識を会得していき、徐々に信頼を得ていく。
誰が敵で誰が味方なのかがわからない中で、イレーナが生き延びるために必死に試行錯誤する姿はスリリングで、どんどん続きを読みたくなってしまう。
小さな積み重ねから少しずつ信頼できる人間が増えていき、友情が育まれていく様子も読み手に心地よいものを与えてくれる。
それらは基本的にイレーナの人間としての魅力が生み出している面白さのような気がする。
イレーナの魅力
主人公のイレーナは魅力に溢れている。
まず芯が強い。
イレーナに非はないのに、拷問され続ける日々をおくることになってしまい、反抗して相手を殺してしまったら死刑になってしまう。
とんでもない理不尽だ。
それでも腐らないで再び前を向ける心の強さがある。
そして賢く聡明であること。
今の自分に何が必要なのかを考えて、無理のない範囲でそれを実行に移すことができる。
身体を鍛え、護身術を身に付けることもそうだし、相手を出し抜き、生き残るすべを知っているところも素敵だ。
あと、酔うと微妙にエロくなるところも魅力的。
途中で酒の毒見をした際に、酔っぱらってしまい、勢いでつい絶対的な上司であるヴァレクの股間に手を伸ばすシーンがある。
そのシーンはエロい。かなりエロい。
結局、ふわりといなされてその場は終わるのだが、自分に毒を盛っているヴァレクの股間に手を伸ばすって、果てしない勇気とエロスが必要な行為だと思う。
果てしないよ、イレーナ。
イレーナがそれだけの魅力を持った主人公であるのは間違いないが、僕が思うに、この作品で最も可愛らしいのはイレーナではなく、そのイレーナの師匠であるヴァレクなのである。
これは紛れもない事実だ。
ツンデレおじさんヴァレク
この作品の魅力は、最強のツンデレおじさんであるヴァレクに詰まっている。
1にヴァレク。
2にヴァレク。
3、4もヴァレクで、
5にヴァレクなのだ。
それほどの魅力をもったヴァレクについてちょっと語らせてもらいたい。
ヴァレクは最高司令官に直接仕える防衛長官で、イレーナの毒見の師匠でもある。
一日に一度解毒剤を服用しないと二日で苦しみながら死んでしまう猛毒『蝶の塵』をイレーナに飲ませ、クーデターの際には魔術師を皆殺しにするなど、超絶COOLで残虐性を持ち合わせた男だ。
さらに暗殺術や変装術を会得しており、魔法に対しても耐性を持ち、尾行も完璧で数人程度の相手なら一瞬でその命を奪うことができる。
さらにさらに政治的な面や諜報的な部分でも相手の裏をかきまくる。
なんでも出来るスーパーマンと言っていい存在。
それがヴァレクだ。
そんな完璧なヴァレクが、作品の途中から主人公のイレーナに対してツンデレ化していく。
ヴァレク曰く、イレーナはあくまでも毒見をさせる女で、はじめは「死んだらまた新しい毒見役を教育しなければならないので守ってやっている」というスタンスでいたのだがが、徐々にその様子が変わってくる。
イレーナを守ってあげるために自分の部屋の続き間に呼んで、半共同生活をし始めたかと思うと、その部屋に帰るの事を「私たちの家に帰ろう」とか言い出して、さり気なく同棲アピールをする。
また、イレーナが敵に襲われたりすると、急に「殺してやる!」みたいな激しい言葉を言い出して怒り狂ったり、逆にイレーナが裏切ったと早とちりをした時は、拗ねたようにイレーナに冷たく当たったりする。
その後、逆に裏切ってないと判明したときは上機嫌になってルンルンしていたりする。
さらに上記したが、途中でイレーナが酒の毒見をした際に一度ヴァレクに迫るシーンがある。
絶対にヴァレクはメチャクチャ動揺していたはずだが、クールにいなしていた。
内心では超絶的に盛り上がっていたくせに、生唾ごっくんしながらクールぶってると思うと、そんなヴァレクに心を奪われてしまうのだ。
ヴァレクは本当にかわいい。
かわいいよ、ヴァレク。ハァハァ
最後に
何故かおっさん(僕)がおっさん(ヴァレク)にハァハァするという謎の感想文になったが、許してほしい。
どんなファンタジーの感想だよ!と、自分でも思う。
どうしてこうなってしまったのだろうか、笑。
なんにしてもこの作品はシンプルに面白い。
一度読みだしたら絶対最後まで読んでしまう魅力に溢れている作品なので、皆さんに手に取ってもらいたいと思う。おすすめですよー♪
